南澤 絵梨さん

東洋フードサービス株式会社

「自分に合っていた」栄養士さんのお仕事

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取材してきました!

 皆さんおそらく小中学校時代などに一度は食べたことのある給食。今回は、私たちにとって身近な給食づくりの舞台裏に潜入してみました。
 普段の生活ではなかなか触れることのない、栄養士のお仕事。そのやりがいとは?苦労とは?これからの目標は?など、東洋フードサービスで栄養士として働く、南澤さんにお伺いしてきました。
 一見クールに見える南澤さんの言葉の端々から感じた、お仕事への熱い想いを少しでも感じていただけたら嬉しいです。

私が取材しました!

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安田女子大学

3回生


住本 遥

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安田女子大学

3回生


奥村 倫代

食堂の栄養士さん 二百人に提供する献立、どう立てる?

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メニュー表に、アンケートで出た 例のコーンや好評だったもの(トロロ)、また出してほしいと言われたもの(梅びしお)のメモを書いて、今後のメニューに活かしているそうです。

 病院や企業、学校などの委託給食業務の管理・運営を行う、東洋フードサービス株式会社で働く南澤 絵梨(みなみさわ えり)さん。南澤さんは現在、主に警察学校の食堂で、献立表・指示表(調理員さんへ、この献立を何人分作ってください というのを示した表)を作成するお仕事をされています。
 南澤さんの働かれている警察学校では、一食あたり平均二百人分もの食事を作られています。そのため下処理や盛り付けなどのお手伝いもされているそうです。

 献立を立てると言っても、南澤さんがお一人で自由に決めているわけではありません。まず、警察学校の給食担当の方と毎月に行われる給食会議で、一ヵ月のメニュー予定表を出します。その一か月の予定表にOKがもらえたら、一週間の細かい予定表にしていきます。加えて、警察学校との契約で、基本は毎日二千五百キロカロリー以上摂らせることが決められています。

 そんなお仕事の中で一番大変なことは、「一人ひとりの好みがあること」なのだそうです。警察学校では一週間に一回、給食に関するアンケートを行っています。
 すると、「コーンは嫌いだからいらない」「朝パン食の日を増やしてほしい」「麺の時はご飯を付けてください」「炭水化物と炭水化物の組み合わせはやめてください」など…二百人もいたらキリがありません。

 また、パン食はお金がかかりますが、これまで要望に合わせて何度か増やしてきています。しかし、生徒さんは毎年卒業され、入れ替わります。新しく入った生徒さんは以前の給食事情を知らないため、「(パン食を)増やしてほしい」という声はなくなりません。
 金額的に難しいことや、定められた一日のエネルギー数を下回ってしまう要望には やはり答えることができません。そのため、「聞ける要望があったら聞く」というスタンスでメニューを考えられています。

 「何が一番嬉しいかって残飯数が減ること」と話す南澤さん。基本は事務室にいるため、生徒さんと直接お話する機会が少なく、なかなか「おいしかったです」という言葉を聞くことがないのだそうです。
 だから、給食が美味しかったかどうかを知るのには残飯数が指標になります。「数字に出ると分かりやすい」のだそうです。

 応えられない要望は見なかったふりをするかも、と冗談交じりに話されていました。しかし、南澤さんの言葉の端々からは、はっきりと言葉にはされないけど、総エネルギー量だけでなく、生徒さんの体調をしっかり考えた上でメニューを作成されていることがひしひしと伝わりました。

自由な働き方で「私に合っていた」

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普段過ごされている事務室。奥の本棚にはたくさんの料理本が並んでいました…!

 「夢がなかった」。
 就活の時、何がしたいか分からなかったという南澤さん。会社を選ばれる際も、どこの会社に入ってもやることは同じかなと思っていたから、正直どこでも良かった、と話します。しかし実際に働いてみると、考えが変化することもありました。

 南澤さんは現在、就活の時に受けた食品関係の会社さんと取引をされています。今だから思うけど、と前置きをされてから「(その会社には)受かっていても行ってなかったかもしれない」と話してくださいました。
 栄養士の資格を取ったからには栄養士にならないともったいないと考えていた南澤さん。しかしどこの会社にも栄養士職があるとは限りません。実際に取引をされる中で見えるその会社さんに、栄養士の仕事の存在が見えないのだそうです。

 また、大手の会社は、管理栄養士さんの下に栄養士さんがたくさんいらっしゃる形なので、何か仕事で悩みがあれば他の栄養士さんに相談できたかもしれません。しかし、南澤さんは個人でやりたいという性格。
 また、現在南澤さんはフレックスタイム制で働かれています。日曜日は少し遅くまで仕事をしたから月曜日の朝少しずらして一か月で帳尻を合わせようかなど、一人だからこそ自分の好きなやり方で働いていけるということは、自分に合っていたと気づいたと言います。

 しかしそれは、やってみないと分からなかった。振り返ってみた時に、「自分に合っていた」と気づかれました。もちろん最初は慣れなかったけれど、今の会社に入って後悔はない、と話してくださいました。

  「夢がなかった」「どこでもよかった」…。とても正直な方だなと感じました。しかし、実際に働いてみると、「どこでもいいわけではなかった」「自分に合っていた」「後悔はない」…。
 その思いにいたるまでには、相当の努力があったのだと思います。辞めたいと思ったこともあったそうです。しかし耐えた。「続けていると当たり前になる時が来る」と話す南澤さんはとてもかっこよかったです。

「なるようになる」過去の経験が今に活きてくる

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これまで南澤さんが溜めてきたメニュー表の厚み。なんと過去三年分!

 最後に、学生へのメッセージを伺うと、「なるようになる」「何事もやった方がいい」とお答えいただきました。なるようになるのだから、どうしようどうしようと不安になる必要はありません。

 しかし、だからと言って何もしなくていいわけでもありません。なるようになる、という強い気持ちを前向きに活かして、何事にも取り組んでほしいと話してくださいました。南澤さん曰く、いらない勉強や資格はほとんどないのだそうです。私たち学生は、資格を履歴書に書くためのものと考えがちですが、その資格を取得するために勉強したことに意味があるのだそうです。

 またそれに加えて、栄養士を目指される学生さんに向けては「メニュー表を立てること」「パソコンの勉強は役に立つ」と答えていただきました。

 学校の勉強の中で立てた献立は一食分かもしれません。しかし、食は三六五日三食あるものです。だから一食と言わず一週間、一週間と言わず一ヵ月、一年間…頑張って立ててください。一年分を立てておくと、会社に入って栄養士として働く中で、いつか「一週間の献立を立ててみて」と言われた時に、役に立ちます。その経験があるのとないのとでは大違いだそうです。

 実際に南澤さんは、会社に入社されてから献立を考えるのに苦労されました。しかし、苦労されたけれど何とかなっていたのには、パソコンの存在がありました。
 南澤さんは入社後最初の職場で、パソコン操作が苦手だった管理栄養士さんの代わりにパソコンを使って作業をしていました。その時に、管理栄養士さんが作成されたメニューを印刷し、紙媒体にして保管していました。

 いざ自分が献立を立てることになった時に、この時保管しておいたメニューが大変役に立ったそうです。このことから、パソコンを勉強してスキルを身につけておくこと、また、メニュー表を立てておくことの重要性を感じたのだそうです。

取材後記

  栄養士さん自体は一人の現場ですが、警察学校の方や調理員の方など、関わる方はたくさんいらっしゃいます。そんなたくさんの方とのコミュニケーションが求められる中で工夫されていることや、試行錯誤されてきたパン食の変遷など、他にもたくさん興味深いお話をお聞きしました。
 どこまでも正直な南澤さんだからこそ、説得力のあるお話の数々でした。食堂の中を案内していただき普段は見ることができない内側も垣間見ることができ、楽しかったです。ありがとうございました。

企業/団体情報

企業/団体名 東洋フードサービス株式会社
代表者 大成 浩之
所在地 広島県広島市中区広瀬北町3-11 和光広瀬ビル2F
公式サイトURL http://www.toyo-fs.co.jp/

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